2013年1月31日木曜日

津波対策・臼杵小移転を断念、保護者の多くが反対

http://kyushu.yomiuri.co.jp/magazine/kyoiku/20130131-OYS8T00461.htm
(以下引用)

津波対策・臼杵小移転を断念、保護者の多くが反対

臼杵川の河口近くに立つ臼杵小(奥の白い建物)

 臼杵市の中野五郎市長は30日、南海トラフ巨大地震の津波対策として検討していた臼杵小の移転計画を断念すると発表した。17日の同小PTA総会で、保護者の多くが反対を表明したことを尊重した。

 臼杵小は、臼杵川の河口近くの海抜約2メートルに立地。巨大地震で最大5メートル超の津波が周辺に押し寄せると想定されている。

 市は、1・3キロ離れた高台にあり、老朽化で建て替えが決まっている福良ヶ丘小への移転案を保護者らに示した。

 だが、市と地元との意見交換の場では、保護者らから「きちんと避難訓練をすれば被害に遭わない」「移転先は交通事情が悪く、災害時などに保護者が迎えに行けない」などと反対が相次いだ。

 17日にPTAが計画の賛否を問う投票を実施したところ、8割弱の保護者が反対した。

 市役所で記者会見した中野市長は、「今でも移転した方が安全だと思っている」としながらも、「現状維持を望む声が強く、移転先周辺の道路整備の見通しについても納得してもらえなかった」と述べた

 一方、PTAが24日、市に対し、独自の防災対策費計上などを盛り込んだ取り組み案を提出したことに触れ、「防災意識は高まっている」と評価。「沿岸部に残すことを踏まえ、対策に取り組みたい」とした。市によると、避難訓練の拡充や防災教育の充実など、ソフト面の対策強化を検討しているという。

 市とPTA、学校周辺の区長会の3者は近く、防災対策に連携して取り組み、対策や危機意識を継承していくことを記した確認書を交わす。

 PTAの塩崎洋一会長は「市から移転案を投げかけられたことで、保護者にとっても防災について考え直す機会になった。地域住民や行政と一丸となって災害に強い町を作りたい」と話した。
(2013年1月31日 読売新聞)

-------引用ここまで

市長として発言すべきことではないと思います。

津波からの安全面だけを捉えれば移転したほうが安全なことは確かでしょう。しかし、PTAは様々な角度から総合的に検討して「移転反対」の結論に至ったと思います。

本当に市長として「移転すべき」と考えていたのならば、「PTAの意向を最大限尊重する」などと言う前に、移転すべきと判断した理由を丁寧に説明し理解を求めなければならなかったと思います。

それを「どちらを選択してもPTAの意向を尊重する」とし、最終的に自ら「移転せず」を選択したのですから結果責任を負わなければならないと思います。

「移転せず」があらゆる面から総合的に判断した「最良の策」であると内外に宣言しなければなりません。結論を出して後に不本意であるような発言はすべきではないと思います。

10 件のコメント:

  1. 本日付の大分合同新聞に掲載されていましたね。
    ちょっと気になったのが副市長のコメント。

    「市も市民も腹をくくったということ」

    とありましたが、どうも私には、市は移転を提案しましたが市民が反対したのですから、責任の所在は市民にあります。という感じにしか聞こえません。

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    1. そうですね。「市は移転するほうがよいと考えたが、市民が反対した」そういう印象が残りました。

      市は保護者の意見を聞いただけで提案していない。それにもかかわらず市長が「提案を撤回」というからそのような印象が残ったと言った人がいました。

      「提案した」のか「意見を聞いた」のか曖昧な進め方であったことは確かです。そして結果的に妙な印象が残りました。

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  2. 「提案」であれ「意見聴取」であれ、市の考えを聞いた上で圧倒的多数が移転せずを選択したんですよね。
    市からの提案が円滑でなかった経緯等もあったでしょうが、始まりと経過がどうあれ最終的に自身らの意見を集約表明したんですよね。
    であれば、「市民も腹をくくった」というコメントがあっても、「責任の一端はある」「市民が反対した」という印象を受けることがあっても別に…、
    それはそんなに不自然なことでしょうか。

    腹もくくらずにそんな選択をします?
    「責任を伴わない選択」なるものが存在します?

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    1. 「移転する」か「移転しない」かは最終的には市長判断にゆだねられるものです。最終判断に至る過程で「市民の意見をどのように聞き」「どの程度尊重するか」についても市長判断と思います。

      今回「移転しない」という判断に至ったについては「現在の位置でも安全に避難できる」と判断した上での市長判断でなければなりません。「安全に避難できないかもしれないが市民の選択なので」とはなりません。

      あらゆる点を考慮して「安全に避難できない」との市長判断であれば、反対が多くても「移転」を選択すべきです。

      何があっても「市民が反対し移転できなかったから」という言い逃れが決してできないという点で「責任の一端はある」という印象を残すことは適切でないと思った次第です。

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  3. リーダーたるものの責任論については同意します。
    しかし、では市民の責任はゼロなのかというと、それはまた別の話だと思います。

    もし仮に今回、市長が、民意は大半反対だけど自身の考えを貫き移転を押し進めたとします。
    しかし8割の反対意見は最初から最後までぶれませんでした。
    そんな状態にも関わらず「民意は聞くが市政は変えない」などとすればどうなるか。
    県内外に事例はいくらでもありますが、市民VS市の混迷状態が長く続くでしょう。
    果てはリコール運動にまで発展したとしましょう。
    そして反対派の市長に交代し、市民の希望どおり移転せずになった、としましょう。

    となると結局、最終的に民意と結果責任はイコールになりませんか?

    多大な時間労力税金を費やし、多くの感情的しこりを生み残し、結果は同じ。
    であれば、「総合的判断」は合理的手法であると思います。
    今回、意見が賛否半々であれば市ももう少し粘ったでしょうが、これ以上粘っても「総合的に」マイナスだと判断したんじゃなかろうかと憶測します。

    市長として発言すべきでなかった、責任の一端があるという印象を残すのは適切ではない、
    その言わんとすることは分かります。市長たる責任から逃れられるとは市長さんもまさか思ってないでしょう。

    市長にも結果責任がある。市民にも応分の結果責任がある。
    そういった意味で、「市も市民も腹をくくった」という言葉に私は違和感を感じません。


    責任はたった1個しか存在せず、それは不可分である。
    そうではなくて、
    責任は一人につき1個ずつ在る。と思います。(立場により軽重はありますが)

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    1. 市長は「移転について多くの賛同が得られると思っていた」と述べました。それにしては「移転すべき」との提案に至った理由の説明が不足していたと私は今でも感じています。

      被災地での実態、避難路の液状化の可能性、避難通路への建物倒壊の可能性、子供たちの動揺。あらゆる点を考慮して「移転すべき」との判断に至り、提案したならば、時間をかけて「説得」する過程が必要であったと思います。その「説得」が十分ではなかったという印象が否めないのです。

      副市長は「安全な避難は困難、移転すべき」と考え「説得」しようとしたように思えます。ゆえに「移転せず」の結論に対して「(安全な避難は困難であるが)市も市民も腹をくくった」と述べたのではないかと思っています。

      「説得」が不十分であったゆえに「安全な避難に不安が残った」ならば責任が生じるということでしょう。

      いずれにしても今後は「安全に避難できなかった」という結果責任が生じないよう「責任を持って努力する」ということしかありません。

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  4. 説明不十分であれば民意の選択責任を超えて施政者責任が多大に生ずる、
    なるほど、事実であれば議員のおっしゃるとおりです。

    ”今後”についても議員が後段でおっしゃるとおり、また、引用記事の最後段でPTA会長さんがおっしゃったとおり、これらに尽きると思います。

    移転問題がどう転んだとしても、津波問題全体からすればそれは一部分の話にすぎず、
    (ハード整備面においては確かに大きな影響が生じる問題でしたが)
    今後どのみち津波対策を、官民一体で、全体的に(なるべく取りこぼしのないように)、構築していかなければならないことに依然変わりはありません。

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    1. ありがとうございます。

      「説明不十分」は私の感じたところです。様々な条件を考慮し「多くの賛同が得られる」との判断の元「移転すべき」と市長提案したにも関わらず、地区やPTAの多数が「反対」となった経過を考えれば「説明不十分」とみなされても仕方がないと思います。

      いずれにせよ匿名さんのご指摘のとおり、想定どおりの津波が襲えば一定範囲が「壊滅」する事態が想定される市街地の「津波対策」をどうするのか、まさに「本腰」を入れて官民一体で考えなえればなりません。

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  5. 最近こちらのブログを見つけた在京の臼杵小学校出身者です。
    親戚の子供もいずれ通うことになる学校なので、相当心配しています。
    正直なところ、臼杵小に通学した者、そして東京で震災に合った者として意見を言わせていただくと、とても地震後に避難がスムーズにいくとは思えません。避難場所は城址公園でしょうか?だとすれば、大人でさえも地震のショックから立ち直るのも大変な中、低学年の子供たちを城址公園まで逃げさせるのに、どのくらいの時間がかかるでしょうか?

    それなら、新校舎の上に避難塔でも設置したら良いのに、と思いますが、そういう提案は出ていないのでしょうか?

    これまでのブログや新聞の記事を見ると、「保護者が腹をくくったから、何が起こっても仕方ない。」という結果で終わり、という風に見えてしまいます。
    この問題に関するその後の流れ、被災回避の提案など、議会で話し合われていると思いますので、ぜひこのブログ上で紹介してください。

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    1. 避難時間のことですが、避難訓練では避難完了まで十数分と聞いた記憶があります。津波到達まで51分と予想されていますので、十分避難できると考えるか、難しいと考えるかです。

      今回「移転」を提案したが「撤回」となった経緯、地元とPTAと学校と行政の4者協定を結んだことなどから察するに、日頃の訓練により最悪の事態は避けられると考えていると思います。私もそのように思います。

      今後、現位置での耐震改修が行われます。15年くらい先には「建て替え」となりますが、そのときにどのような議論となるかは判りません。この件についてはこれまで報告した以上のことは「議会」では話し合われていませんので残念ながら「紹介」はできかねる状況です。

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