2011年6月21日火曜日

若年層が政治的におとなしく、中高年層が政治的にうるさい1つの理由

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若年層が政治的におとなしく、中高年層が政治的にうるさい1つの理由 2010/7/21

民主党政権は「最大のムダ」である社会保障費を完全に聖域化している。世代間格差の観点から、小泉・安倍政権では高齢化に伴う社会保障費の自然増を抑制してきた。しかし、民主党は「弱者切り捨てだ」という感情論に走り、政権交代を果たした(反改革ムードに迎合した麻生政権でも、社会保障費抑制は有名無実化された)。民主党政権で、社会保障費の自然増は放置されることになった。2010年参院選敗退後も、過大な社会保障費という既得権を護持する民主党利権政治は揺らいでいない。

「長妻昭厚生労働相は1.3兆円とされる社会保障費の自然増について『不正受給の取り締まりなどに取り組んでも1.3兆円になる。不正などを放置して膨らんでいるものではない』と語り、自然増の抑制に反対する意向を示唆した」(日経新聞 )

長妻氏は「不正」ではないから、社会保障費の自然増は構わないという。では、若年世代や将来世代から過大な税金を取り立て、引退世代に過大な社会保障をバラマキ続けることは、「不正」ではないというのだろうか。特定の世代に「高福祉低負担」を実現し、その代償として、別の世代に「低福祉高負担」を押しつける政治こそ、給付と負担のバランスを欠いているという点で「最大の不正」である。
世代間格差是正のために、消費税増税は重要なオプションの1つだが、現在、民主党や自民党がやろうとしているのは、引退世代が逃げ切るための方便なので、認めるわけにはいかない。世代間格差の最大の原因は、引退世代に対する過大な給付であるのに、それを放置したまま、消費税増税ですべての世代で同じように負担をするというのは、公正なように見えてまったく公正ではない。しかも、低所得者に対する還付が行われれば、引退世代の消費税増税負担は実質的にゼロとなってしまう。引退世代に追加で資産税などの税金を課すか、社会保障費を抑制しない限り、世代間格差は是正されない。

「国民が生涯に支払う税金や社会保険料などの負担と、政府などから受ける年金、医療保険、介護保険給付などの損得勘定を計算すると、将来世代は重い負担を背負う実態が浮かぶ。内閣府の試算によると、1943年以前に生まれた世代は4875万円の受け取り超過になるのに対し、84年以降に生まれた世代は4585万円の負担超過となり、差し引き9460万円の格差が生じる」(毎日新聞 )

世代会計では、団塊世代あたりまではぎりぎり逃げ切れるようになっている。それより下の世代になると、文字通り「低福祉高負担」の現実が待っている。このような現実を、それぞれの世代が漠然と感じているからこそ、いわゆる「シルバー民主主義」が横行しているのではないだろうか。
若年層が政治的におとなしいのは、ゴネたところで何も出てこないとわかっているからだ。一方、中高年層が政治的にうるさいのは、ゴネれば何とかなるとわかっているからで、実際、2007年参院選、2009年衆院選とゴネまくった結果、社会保障費の自然増維持という成果を勝ち取っている。消費税増税に賛成する声が多いのも、過大な給付は一切減らされないという前提に立っているからだ。
政治的にうるさいのは中高年層だけではない。労働組合やマイノリティー団体など、ゴネ得が可能だとわかっている「自称弱者」たちは、徹底的にゴネようとする。どう考えてもゴネ得が不可能な人たちは、政治に対する動機がどうしても弱くなりがちだけれども、それでもやはり、「政治(政府)というものの役割を小さくするために政治に関心を持つ」という逆説的な関わり方をしていかなければならないと思う。現在の民主党、そして角栄に象徴される過去の自民党が実践するゴネ得政治を改めるためにも、構造改革路線の復活が必要である。

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