2011年10月25日火曜日

公務員人件費2割削減


http://www.quon.asia/yomimono/business/oonishi/2011/10/07/2868.php
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公約どおり公務員人件費を2割削減すれば

2011年10月7日筆
国会審議が放映される日は仕事をしながらテレビをつけっぱなしで論戦を聞いています。朝霞の公務員宿舎の建設をめぐる攻防は完全に政府側の負けでした。建設を決めた野田佳彦前財務大臣(首相)と建設を遂行する安住淳財務大臣の国会答弁を聞いていますと、官僚たちが得ている既得特権を擁護する発言に終始しているように感じました。

民間のサラリーマンは自前で高い家賃を払ってマンションに入居しています。なぜ官僚が民間相場の3分の1にもならない安い家賃で公務員宿舎に入る特権を持っているのか、それについての説明がまったく出来ていないようでした。

従業員が得ている給与以外の利益のことをフリンジ・ベネフィットといいます。安い家賃の公務員住宅、安い金利の融資、安い利用料の福利厚生施設など公務員が得ているフリンジ・ベネフィットはいったい幾らになるのでしょうか。

官の給与は民の給与を20%以上上回る、外郭団体の給与はさらに高い
フリンジ・ベネフィットに触れる前に、公務員の正規の給与について触れておきます。下表は、自治労連、国公労連など公務員労組が属する全労系の「労働運動総合研究所」が11年5月の論文で示した公務員や政府系機関の平均年収の一覧です
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この平均年収が民間企業の従業員の平均年収に比べどれぐらい高いかについて、大和総研のチーフエコノミスト原田泰氏(経済企画庁出身)は家計調査の所帯主給与のデータを分析して「官の給与は民の給与を20%以上上回る」(「官民給与格差は大停滞の一因」(10年10月)と指摘しています。

さらに原田氏は地方での官民の給与格差はさらに広がるはずだとも指摘しています。国家公務員の給与は国の「人事院」、地方公務員の給与は地方の「人事委員会」の勧告に従って決められます。勧告の指標になるのは人事院と人事委員会が合同で行う「民間給与実態調査」による民間給与水準ですが、それも「かなり大規模な事業所のホワイトカラーの給与水準」と同等になるように決められています。多少調整されますが、地方公務員の給与水準も「かなり大規模な事業所のホワイトカラーの給与水準」に準じることになります。地方には東京のビッグビジネスのような高い給与が支払える企業などありません。その結果、地方での官民の給与格差は中央よりさらに拡大することになります。

上表の平均年収によれば、中央政府の外郭団体である独立行政法人、政府系金融機関、地方自治体の外郭団体である地方公営企業の平均年収が公務員よりはるかに高いということに驚かされます。公務員の天下り先の年収のほうが公務員より高いことになります。なお、最近は、外郭団体職員の非正規化が進み、正職員と非正職員の賃金格差が拡大していることを付記しておきます。

国家公務員の一人当たり人件費は1337万円、高すぎませんか
これらの平均年収にはフリンジ・ベネフィットは含まれていませんから、これを含めると実際の公務員等の平均年収はさらに大きくなると思います。

ではいったいフリンジ・ベネフィットを含め国家及び地方公務員にどれぐらいの人件費が掛かっているのでしょうか。それを類推する手掛かりの一つとして財務省主計局が昨年12月に公表した「平成23年度公務員人件費」の数字を下表にまとめました。

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上表の「一人当たり人件費」は、公務員の人件費総額を人数で割って算出した単純な金額です。この人件費総額にどの程度のフリンジ・ベネフィットが含まれるか判然としませんが、およその1人当たり人件費と考えてください。中央、地方の民間企業の皆さん、自社の従業員一人当たり人件費に比べ、国家公務員1337万円、地方公務員903万円という数字が高いか安いか、ご判断ください。ずいぶん高いと思われるでしょうね。

もう1つ、国債費(地方債費)などを除外した一般歳出に占める公務員人件費の占める割合も出しておきました(上表)。平成23年度の地方自治体の一般歳出は66.8兆円、給与関係経費は21.3兆円ですから歳出の約32%が人件費に費やされています。地方自治体は、さまざまな人的公共サービスを提供していますから人件費比率が高くなって当然ですが、そこの無駄はないといえるでしょうか。この21.3兆円もの地方公務員の人件費総額は、もっと厳密に「事業仕分け」され削減の対象にされてもなんら不思議ではありません。

国家、地方公務員の総人件費を1割削減すれば復興財源は軽く賄える
さて本題ですが、震災からの復興のために作成された「第3次補正予算」の財源問題です。政府は12兆円規模の歳出を11.2兆円の増税(与党民主党案では9.2兆円の増税)によって賄うとされています。増税対象は所得税、法人税、たばこ税です。

小生は、増税するならすべての国民(現在世代)が復興財源を負担するという意味で消費税が望ましいと考えています。しかし消費税増税を社会保障費の財源に充てるためにとっておくというのなら、復興財源はこの際、「みんなの党」が盛んに主張しているように公務員人件費の削減によって賄うというのもよいでしょう。

「民」は震災と円高不況でかつてない塗炭の苦しみを味わっています。「官」は、「民」から膏血(税金)を絞り上げて20%以上も高い給与を食んでいるのです。「官」は自ら身を削って「民」の塗炭の苦しみを肩代わりしてもおかしくない時期なのです。

「官」が率先して身を削らないのなら、政府、政治家が国民に代わって公務員人件費を削ることになります。現在、政府が提案している国家公務員給与の7.8%削減が実現すれば2900億円の財源が捻出できるそうです。

民主党の09年マニフェストどおり国家公務員の人件費を2割削減すれば、年間1.5兆円、復興期間10年間で15兆円の財源が出てきます。これだけあれば第3次補正予算の12兆円規模の歳出すべてを賄って余りあります。

2割削減は酷だというのなら1割削減でどうでしょうか。1割削減しても「民」の給与水準よりまだ高いのです。その場合、地方民間に比べ30%程度給与水準が高いと推定される地方公務員の人件費も1割削減することをすすめます(地方交付税を削減して対応できるはずです)。国家及び地方公務員の総人件費27.2兆円を1割削減すれば年間2兆7200億円、消費税に換算して1%以上の財源が出てきます。復興財源は5年間の人件費削減で賄えることになります。人件費削減を公務員より高給を食む政府系機関の正職員にまで広げれば、人件費削減率を1割以下にとどめることができるかもしれません。

しかし、朝霞公務員宿舎問題では財務省官僚が作成した役人特権を死守するための「屁理屈」に従って答弁した野田政権ですから、こんな荒療治などとても出来ないでしょうね。ましてや民主党の支持団体には自治労や日教組など官公労が控えています。荒療治はますます難しくなります。まことに残念です。

2 件のコメント:

  1. 口では復興、被災者早期救済とか言ってるが、まともな議論すらしてない現状。人員削減、給与削減で難しい議論無しに復興財源確保。身内に甘く保身に走る公務員ばかり。なりふり構わず国民の為、市民の為に働く先生方(笑)はいないものか・・・?失敗しようが、出来ないとわかっていようが、それでも正しい事をやろうとする情熱、お持ちですか、若林さん?期待してもいいですか?

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  2. 国の借金体質の改善や復興資金の確保は急務。国民全てがこれまでどおりの生活水準を維持しつつこのことを解決することは不可能です。

    増税も必要ですが、公務員人件費の削減(人員削減、給与削減)も必須。また、社会保障(医療保険、年金、生活保護など)のあり方も考えなければ、穴の空いたバケツに水を注ぐようなもの。

    増税も公務員人件費の削減も社会保障改革も痛みを伴います。皆さんと情報を共有しつつ、あるべき姿に向け進んでいく覚悟です。

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