2011年10月23日日曜日

常陸のこころ(5)


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-------以下、asahi.comより

常陸のこころ

〈5〉子孫交流 新たな実り

2011年10月14日
写真
初右衛門の住居跡の案内板ができた。二孝女研究に尽力した秋山高志さん、野上平さん(左から)は笑顔をみせた=常陸太田市東連地町の青蓮寺
大分県臼杵市の訪問団が14日、常陸太田市の青蓮寺(しょう・れん・じ)を訪れる。目的は、初右衛門、ツユ、トキの父娘がお世話になったことへのお礼。そして、物語をきっかけに結ばれた両市の関係を深めるためだ。
中心となる「野津町きっちょむ史談会」は準備に万全を期し、交流会で披露する盆踊りや歌の練習を重ねた。200年ぶりの父娘のお礼の旅という設定で、寺までの小道を父娘に扮した会員が巡礼姿で歩くことにした。おみやげには特産のカボス2千個に焼酎、臼杵せんべい、石仏まんじゅう……。
出発が近づくにつれ、うれしいことが起こった。一般の市民らから「青蓮寺へのお布施に」と500円、千円と浄財が寄せられた。カボスを5個、10個と持ってきてくれた人もいて、出発までに3500個も集まった。
二孝女の映画化を企画している県立臼杵商業高校生徒会からは、全生徒で集めた震災義援金と手紙を大久保太一・常陸太田市長に渡してほしい、と託された。
迎える青蓮寺でも、今年5月に門徒(檀家(だん・か))らで設立した「二孝女顕彰会」が何度も打ち合わせをし、13日には式次第に沿って交流会のリハーサルも行った。
本番では双方の子孫の顔合わせも予定されている。臼杵市からは二孝女の子孫の川野勝行・美智代夫妻ら、常陸太田市からは初右衛門を診察した医師や父娘に援助をした近郷の名主の子孫らが出席する。
それぞれの地元小学校同士の交流も始まろうとしている。交流会では常陸太田市立山田小の3年生が二孝女について学んだことを発表。臼杵市立川登小の6年生が書いた作文も読まれる。両校は「息の長い交流をしていきましょう」と話し合っている。
行政も物語を地域の資源、財産ととらえ、両市とも顕彰会、史談会を支援している。すでに事務レベルで「姉妹都市締結なども視野」(大久保市長)に連絡を取り合っている。
顕彰会の目的は「二孝女の史実を広め、地域の豊かな人間関係を醸成し将来に伝えていくこと」と規約に書かれている。
次の世代につなぐこと。未曽有の大震災を経験し、家族や助け合いの心の大切さが多くの日本人の身にしみた今が好機と、物語に関わった誰もが考えている。
臼杵市では来年度、小学校の副読本にする予定だ。茨城ではすでに県立高校の道徳の副読本に載り、常陸太田市でも検討が始まった。
来年のいまごろ、今度は顕彰会が臼杵市を訪れる。ツユ、トキがまいた種が新たな実りを結びつつある。
=おわり
(この連載は猪瀬明博が担当しました)

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