2011年12月23日金曜日

民主の増税論議 政権党の自覚あるのか

社説:民主の増税論議 政権党の自覚あるのか(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20111223k0000m070136000c.html?google_editors_picks=true

何度、同じような光景を見てきたことか。野田佳彦首相が消費税率引き上げを柱とする税と社会保障の一体改革の素案を年内に取りまとめようとしているのに対し、足元の民主党内で消費増税に反対する声が日増しに強まっている

小沢一郎元代表を支持するグループが100人以上の国会議員を集めて会合を開くなど、いつもの党内対立の様相だ。これを受け、取りまとめを年明けに先送りするとの意見が党執行部にも出ているという。

首相は消費増税法案は来年3月までに国会に提出すると言っており、確かに必ずしも年内にこだわる必要はない。だが、再三「年内をめどに」と表明してきた首相が、ここでそれをあきらめれば、その指導力、決断力に大きな疑問符がつくのは確実だ。先送りすれば反対論は勢いづき、さらに党内をまとめられなくなる可能性の方が高いだろう。首相は今、そんなぎりぎりの状況にいることに、もっと危機感を持つべきだ。

それにしても、反対する議員の動きは政権与党としてあまりにも無責任であり、いまだに野党気分が抜けきらないのではなかろうか。

「増税の前に無駄削減を」「公約を守れ」との主張は聞こえはいいが、今までどれだけその努力をしてきたのか。増税に反対する人の中には民主党政権発足以来、閣僚や副大臣などを務めてきた人もいるのである。その一方で、消費増税なくして、どうやって今の社会保障制度を維持するか、具体的な説明にも乏しい。結局、自分の選挙が心配だというのが最大の動機ではなかろうか。

マニフェストは「何でもやります」の従来型公約から脱皮し、「国民に耳の痛い話であっても必要と思えば提示する」のが原点だった。それを思い返してもらいたい。

この国の将来を左右するテーマだ。対する野田首相には党分裂も辞さないくらいの覚悟が必要だ。ところが、それも伝わってこない。そもそも、なぜ、消費増税が必要なのか。首相も説明がまったく足りない。年末までに何度も記者会見して国民の理解を求める努力をすべきである。

首相は21日の民主党両院議員懇談会では、公務員給与の削減や国会議員の定数削減について「不退転の覚悟で取り組みたい」と語ったが、それなら、なぜ先の臨時国会で早々と先送りしてしまったのか。何を今さら、と鼻白む思いだ。

例えば公務員給与の削減は、労働協約締結権を公務員に認める法案とセットとすることを条件にしている連合との調整が最大のネックだ。首相が給与削減の方が優先順位が高いと考えるなら、自ら調整に乗り出す時期である。

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