2015年9月3日木曜日

現庁舎を耐震補強することに関して

これまでの(建て替え)計画では、平成31年度末までに市庁舎は更新される予定であったが、「耐震補強して使う」という方針が出された。

耐震補強に要する費用は、概算4億8千万円(耐震改修費2億円、仮設庁舎2億8千万円)とこれまで説明されてきている。

耐震補強しても建物本体の耐用年数は延びない。庁舎は建設後約40年が経過しており、仮に平成41年度末まで使用するとすれば、10年間の使用延長のために4億8千万円を使うことになる。

仮に新築に35億円かかると仮定し、耐用年数を70年とすれば、一年の償却額は5千万円となる。これは耐震補強した場合とほぼ同額である。耐震補強に見かけ上無駄は無いと考えることが出来るが、耐震改修する場合には次の点で不利である。

①津波への脆弱性が残る。

②合併特例債の有効活用ができない。

合併特例債の残りの発行限度枠22億5千万円は、庁舎建設費として残しておいた枠である。耐震改修に合併特例債を利用するとして、残りの17億7千万円は別の事業に利用することになる。

そもそも別の事業には合併特例債を充てる計画ではなく、同等の発行条件である過疎債などを充てる計画であったと考えられる。

そう考えれば、17億7千万円の7割相当額の12億4千万円が、建て替えを先延ばしすることで臼杵市が「損」をする勘定となる。

①と②を解消する方法としては、これまでの計画通り平成31年度までに市庁舎を更新することである。建て替えを先送りする「最終決断」までにはもう少し時間の猶予があると思われ、真摯な取り組みが必要と考える。

いつかは決断しなければならない「重要課題」である。

-------2015.9.14追記

『12億4千万円が臼杵市の「損」となる』と記載しました。しかし、次の点から訂正いたします。

①「過疎債」の発行については、臼杵市の発行要望額が全て認められるわけではなく、認められない部分が5年間で10億円程度見込まれる。その部分に「合併特例債」を充てることができること。

②「過疎債」の発行が認められない事業にも、「合併特例債」の活用は可能であり、相当額の事業が見込まれること。

以上のことから、「合併特例債」を庁舎建設に活用しなくても臼杵市の「損」は生じない模様です。

13 件のコメント:

  1. 私も新聞記事を見た時、移転が事実上なくなり、残念な気持ちではありましたが、市長の方針などを読んだうえで感想をコメントします。
    これまで「防災」に力を入れてきた臼杵市なのに、庁舎を最も津波の危険なエリアに置いたままという決断に驚きました。
    しかし、事務所(庁舎)の位置についてのそもそもの法律の定めは、地方自治法第4条にあり、第2項に「事務所の位置を定め又はこれを変更するに当つては、住民の利用に最も便利であるように、交通の事情、他の官公署との関係等について適当な考慮を払わなければならない」と規定されており、「防災」は念頭に置かれていないようです。これからすると、商業への移転は法律の趣旨に反していて、現在の位置は合理的であるという印象は確かに受けます。
    また、防災面で現在地でもメリットがあるとすれば、職員があの場所にいるということです。あの場所に市役所があるからこそ、市の防災意識も高まるだろうし、本当に津波が来そうな時に、最前線で職員が非難対応に当たるのでしょう。今回の決断は、職員は津波の最前線で頑張れというメッセージもあるのかなと感じたところです。(自分が職員なら、そりゃ安全な高台がいいですが・・・)
    そして、建替えではなく補修ということについて。私はいろんな企業に伺うのですが、臼杵の地場企業は、どこも社屋が古いというか、辛抱しているなと思っていたところでした。耐用年数を過ぎても結局使えれば使う。こういう気風は臼杵らしいというか、こんなところも影響しているのかなと感じました。
    もちろん、まだまだ今回の判断に反対の人は非常に多いと思いますので、若林議員にも主義を通して予算案へ反対してほしいですし、住民訴訟などで、多くの人が考えるきっかけを作ってほしいと思っています。いずれにせよ、今後もいろんな角度から議論が深まることを願って、趨勢を見守りたいと思います。

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    1. 市長の方針では、耐震補強して現庁舎を使う。抜本的解決策についてはじっくりと話し合うということのようですので、移転がなくなったわけではないと思います。

      地方自治法を引用されていますが、旧臼杵商業が法律の趣旨に反しているとは思いません。市街地に住む方々にとっては今よりも不便になります。対応策として「分庁舎」を考える必要があると思います。

      現庁舎位置に市役所があることで防災意識が高まり、職員が初期対応にあたれると述べておられますが、防災意識を持ち、自分の身を守ることは「自助」であります。現庁舎の市役所では津波に襲われれば市職員は臼杵公園に避難、公用車も流され、電気・水道などのライフラインも遮断され初期対応は困難です。

      市役所の役目として、避難所の運営や物資の供給、災害援助派遣の依頼・調整、罹災証明書の発行などが期待されますが、市役所が被災すれば役割が果たせません。

      市長方針にあるように、いろいろな考えがあり結論をだせないという状況は理解します。しかし。津波に襲われる恐れのある現庁舎の抜本的解決策は早急に示される必要があると思います。

      市役所が被災した場合には、通常業務も停滞します。市民による災害ボランティアの連絡調整もままなりません。市民全体にかかわる問題です。多くの人に考えていただきたい重要課題です。

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  2. 9月1日から今日までのコメントを読ませていただいた上です。
    まず、市長の事、旧臼杵商業についてあくまでも、他の活用をといいはっているのは、意固地としか言いようがありませんね!


    一箇所に決めるのが困難なら分散型の市役所を作ればいいのではありませんか。
    ライフラインの復旧をより速やかにする事を考えると、上下水道課や土木課などは津波の被害を避けられる旧臼杵商業に移転して、臼杵公園にも建築し安い木造の建物を作って活用し、観光交流プラザも利用する。
    臼杵公園に設置される課の職員の駐車場は現在の駐車場を利用できると思います。
    以上の事で、現庁舎跡地の有効利用も可能になります。

    合併特例債の有効活用できませんか?

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    1. 臼杵公園に安い木造の建物が建設可能かどうかは調査する必要があります。
      今は、木造2階を建設するにも地下を総掘りする必要があり費用が莫大にかかるとされています。

      もし建設可能となれば、「市街地から遠くない市役所」となり得ます。ただし、現庁舎位置と同様に津波の際には孤立する恐れがありますので、その際の対応については十分検討する必要があります。

      「旧臼杵商業」はその恐れはありませんが、「市街地が寂れるのでは?」に対応する策が必要となります。いずれにしても、今は合併特例債の期限までに「抜本的対応策」を練ることが大事です。

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  3. 臼杵庁舎のあり方についてといった市役所ホームページを読むと、臼杵庁舎は、高度成長の余韻が残る昭和49年に建築され、40年が経過しています。壁面には亀裂が生じ、老朽化も進んでいます。平成21年に実施した耐震診断結果によると西棟一階(市民ホール)はIs値(構造耐震指標)が0.36で、震度6程度の地震(東日本大震災クラス)で倒壊する恐れがあると指摘されています。大分県公表の津波浸水想定によると南海トラフの巨大地震で最大5.75メートルの津波が襲来すると予測されています。この場合、海抜1.8メートルの臼杵庁舎は津波被害から逃れることはできません。
    西棟一階のis値の話しかしてません。
    なぜ、臼杵庁舎を全館耐震化します!となるのでしょうか。
    いつの間に一部分から全館に変わったのでしょうか?
    まさに新国立競技場の話と一緒にみえます。

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    1. 当初の予定通り、平成31年度末の「抜本的対策」が望ましいのは確か。そのために、各方面からの検討を1年間行ってきたはず。

      しかしここにきて「決められない」とされ、耐震上問題がある庁舎をこのままにできないと言われれば抗えません。

      西棟は、一階部分南北方向についてIs=0.36、二階部分南北方向について0.58となっています。一方、東棟は、一階部分東西方向についてIs=0.41、二階部分東西方向0.42となっています。

      2006年1月に出された国土交通省告示第184号では、
      ・Is<0.3…………地震に対して倒壊または崩壊する危険性が高い
      ・0.3≦Is<0.6…地震に対して倒壊または崩壊する危険性がある
      ・0.6≦Is…………地震に対して倒壊または崩壊する危険性が低い
      とされています。

      東棟、西棟とも、耐震補強が必要かと言われれば「必要」という判断になります。

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  4. 現在、関東地方、東北地方が大きい水害に襲われています。
    津波とは少し違いますが、やはり、市役所は高台になければ、と言う思いを痛感します。
    防災、と言っても天災を防ぐのは無理です。何かが起こったときにどれだけ素早く対応できるか?どれだけ多くの市民を救うことができるか?それを考えなければいけない!と言う事をこの災害が教えてくれています。

    お金の事より何より、とりあえず、耐震補強をなどと言っている場合ではないのではないです!

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    1. 耐震補強すれば、補強後10年はそのまま使用することになります。地震には対応できても、津波に対する脆弱性はそのままです。

      今後は、津波注意報・警報のたびに臼杵公園に避難することになるでしょう。あってはならないことですが、大規模津波に襲われれば、建物は使用不可能となります。公用車は流され、施設も備品も使い物にならなくなります。災害対策本部の設置が予定されている「消防本部」へたどり着くのも困難な状況となりそうです。

      本当に「市役所」は、今回の決定(耐震補強し、抜本的対策は先送り)に納得しているのでしょうか?大規模津波時に果たすべき役割が果たせると考えているのでしょうか?

      市民の関心は高まっていると思われます。せっかく検討してきた流れを生かして、「抜本的対策」について、もう一年くらい検討する期間はないのでしょうか?

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  5. 先週、水害に襲われた地域では、漏電の恐れが有るから停電にしている。
    と言う言葉をニュース解説でたびたび耳にします。
    臼杵市に置き変えて考えると、役所が水浸しになる場所に有ると言う事は、やはり、大きなリスクです!

    今、まさに、大きな課題として検討中の出来事(大雨と津波の違いはありますが)を目の当たりにしているわけですね!

    まるで、人事のようにとりあえず耐震補強をなどと言っている場合ではないです!
    中野市長には方向転換する勇気を出して頂きたいです。
    そして、議長や議員の皆様方にも御自分の事として真剣に考えて頂きたい!

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    1. 常総市役所が浸水して29時間ほど孤立した様子ですね。臼杵市役所が津波に襲われれば、現状の市役所の機能は麻痺してしまいそうです。臼杵公園に避難した市職員もしばらくは孤立するかもしれません。「災害対策本部を消防署に設置」としていますが初動期には混乱することが予想されます。

      議会が「市長の方針」にストップをかけるなら、まずは予算案に計上されている「耐震補強のための調査費」を認めないことです。15日は予算委員会、議員の良識が問われます。

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    2. 常総市が行方不明としていた15名の方、県と警察の調査などにより、ほぼ全員と連絡が連絡が取れた様子です。
      市役所が孤立する。-----------水害の場合は地域は限られますが、地震や津波の場合は、県や警察は臼杵市だけと言うわけにはいきませんよね!

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    3. 津波の際に市役所が孤立するのは望ましくありません。現庁舎を耐震補強する前に、建て替え計画がまとまって「抜本的解決」が図られるのが望ましいです。

      しかし、市長は「じっくりと検討する」といっています。

      「市役所は孤立する。その際、出来るだけ混乱しないような準備に取り組む」そういう取り組みになってきそうです。一方で「建て替え」についてじっくりと取り組む。そういう方向です。

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  6. 『12億4千万円が臼杵市の「損」となる』と記載しました。しかし、次の点から訂正いたします。

    ①「過疎債」の発行については、臼杵市の発行要望額が全て認められるわけではなく、認められない部分が5年間で10億円程度見込まれる。その部分に「合併特例債」を充てることができること。
    ②「過疎債」の発行が認められない事業にも、「合併特例債」の活用は可能であり、相当額の事業が見込まれること。

    以上のことから、「合併特例債」を庁舎建設に活用しなくても臼杵市の「損」は生じない模様です。

    市庁舎建て替えの期限という考え方はなくなります。選択肢は次の二つ。
    ①速やかに耐震補強して後、適当な時期に建て替えるという考え方。
    ②速やかに建て替えを検討し、耐震補強せず建て替えるという考え方。

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