2015年9月1日火曜日

市長の方針説明(速報)

平成27年9月市議会「諸般の報告」臼杵庁舎について(中野市長発言)

おはようございます。9月定例市議会の開会にあたりまして、議員各位にはご参集をいただき、付議議案のご審議をいただけますことに感謝申し上げます。

この3カ月の諸般の報告の前に、まず、懸案であります「臼杵庁舎のあり方」について、ご報告申し上げます。この問題につきましては、この一年間をかけ様々な検討を行いますとともに、各方面からご提言。ご意見を頂戴して参りました。

これまで「9月議会までには結論を出したい。」そういう旨申し上げてまいりましたが、判断材料がほぼ出そろいましたし、地震への脆弱性対策に猶予もありません。

つきましては、本日ここに、今後の方針をお示しするものであります。

まず、これまでの経過について振り返ります。
建築物の地震対策につきましては、昭和53年の宮城県沖地震を契機に、昭和56年、建築基準法が大幅に改正され、新耐震基準がつくられました。その後、平成7年の阪神淡路大震災により新たに耐震改修促進法が制定され、耐震診断と改修の努力義務が、また、平成18年には自治体による具体的促進施策や指導強化の改正が、さらに東日本大震災後の平成25年には、大規模建築物の耐震診断が義務付けられる改正がされるなど、安全対策の強化が図られてきました。

国においては、同時に公共建築物の耐震化促進に指導や助成がなされ、各自治体では、とりわけ学校の耐震化を最優先課題とした取組みがなされてきましたが、平成23年3月11日発生した東日本大震災では、大地震とともに津波の恐ろしさをまざまざと見せつけ、全国的に地震とともに津波対策が課題となっているところであります。

このような状況のもと、臼杵市においては、幸いにも江戸時代の歴史資料を有し、東日本大震災前から地震津波対策の重要性を認識し、早くから災害対策の拠点となる消防本部消防署の当時の立地場所を課題とし、ご案内のとおり既に移転を完了したところであります。

また、小中学校の耐震化については、平成1 9 年度から耐震設計に着手して20 年度から工事を進めて参りましたが、2 6 年度に至り、平成2 7 年度中には全ての学校で完了するメドが立ちました。

さらに、その他の主要な公共施設においては、臼杵図書館の耐震化も26年度、リニューアルとともに完了し、市民会館や中央公民館については、耐震基準を満たしていることから、残る重要施設は、市役所臼杵庁舎と野津庁舎旧館のみとなっています。

こうしたことから、昨年度、いよいよ市役所庁舎の耐震化について、検討できる時期に来たと判断したものであります。具体的検討にあたり、野津庁舎旧館は昭和3 7 年に建築され既に5 0 年を超えているものの、臼杵庁舎は全館に耐震性能が低く、また、津波の課題もあることから、臼杵庁舎を優先して検討することを決め、昨年、9月議会で「臼杵庁舎」の災害対策の検討を進める旨、表明したところであります。

検討手法としましては、都市計画や防災、建築、経済などの専門家からなる委員会を設け、有識者の見解をいただくこと、これと並行して、市民の代表からなる委員会を組織して、双方の見解をキャッチボールしながらご検討いただくこととしました。

そのうえで、これら委員会からいただいた結果を市民の皆さんに説明し、ご意見をいただいて、市として最終判断を行うこととしたところです。これら委員会の検討経過については既にご案内のとおりでありますので詳細は省略致しますが、本年3 月末、検討結果を報告いただきました。

報告では、どちらの委員会も現庁舎が4 0 年を経過していることから、「耐震化だけでなく、大規模改修も行う必要がある。」と判断され、その場合、「今後の庁舎寿命を勘案すると経済優位性が低いのではないか。」との考えから、建て替えを選択すべきとの判断でありました。

そのうえで、両委員会とも建て替えるなら津波対策も考慮すべきと判断いただいたところですが、立地場所については、専門家委員会が防災に加えまちづくりの観点も重視して、「臼杵公園に移転あるいは、現在地で津波対策を施した建物にすべき。」とのご提言に対し、市民委員会は防災面を最重要として、「高台のみにすべきとの考えから臼杵公園か、旧臼杵商業高校」をご提案いただいたところであります。

これを受けて、4 月以降、市ではこの3 箇所にどのような計画が可能か、様々な想定案を練ってきたところでありますが、この間、市議会におかれましても「臼杵庁舎整備検討委員会」を設置され、ご検討いただく中で、高台で人口重心地域である江無田公有地においても、具体的検討を行うべきとのご意見をいただきました。そこで、江無田公有地を含めた4 箇所について、庁舎本体はもとより周辺道路などの整備も含めた概算事業費を始め、用地取得の容易性や当該箇所の評価をまとめたところであります。

市議会におかれましては、これらをご検討いただいたうえで、現在地と江無田公有地をご提言いただきましたが、併せて、「他事業に影響を与えないよう総事業費を抑制し、現庁舎の活用も含め減災対策を実施し、市民の理解が得られる結論となるよう。」とのご意見をいただいたところであります。

このように、それぞれの検討結果は、極めて重要な問題であることから、一致した見解には至りませんでしたが、8月初旬に市内3箇所において、市民説明会を開催し、これまでの検討経過やご提案いただいた4箇所の想定案をご説明し、ご意見をいただいたところです。

市民説明会での意見を私なりに総括しますと、議論の焦点は、「まちづくり、防災、財政」の3 点であったととらえています。参加した皆さんからは、特定の場所を推す意見もありましたが、多くの皆さんはどの場所も一長一短あると思われていることや、津波への関心が高いこと、また、多額の予算をかけない方法を考えるべきとの意見や、特に、若い世代の方々は、「将来のまちづくりのあるべき姿の中で庁舎はどうあるべきか、時間をかけ、じっくり考えたい。」など、の意見でありました。

この1年、この問題について、専門家委員会の答申、市民委員会の意見をいただき、候補地ごとの想定案も検討する中で、市議会からは候補地と共に費用を抑えるべき提言をたまわり、市民説明会では私自身、耳を傾けるべき多くの意見をいただくことができました。

こうした各界各層のご提言.ご意見を踏まえ、「まちづくり、防災、財政」の観点から、次のような5 つの課題を解決する必要があると考えています。

一つに、庁舎の耐震性能がなく、対応策の判断が急がれること。

二つに、現状では臼杵のまちづくりに庁舎が中心市街地を離れることは、好ましくないこと。しかしながら、中心市街地には防災、特に必ずやってくる「津波に万全を期せる、しかも直ちに整備可能な適地」がないこと。

三つに、財源面では、合併特例債の期限までに整備することが望ましいものの、適地がない現時点で財源ばかりを最優先して判断することは適切ではないこと。

四つに、大規模改修の優位性が低いとの指摘もいただきましたが、現臼杵庁舎は、耐用年数が少なくとも1 0 年は残っており、機能面で空調、省電力の照明、給水設備などを改修しており、大規模な改修を控えれば、耐震化だけで当分は利用可能と考えられること。

五つに、市民説明会で、次世代を担う若い方々が、「今後、人口減少・少子高齢社会が確実に見込まれる中、多額の費用を要する庁舎のあり方は、臼杵の未来を描く中で、将来世代と共にじっくり時間をかけて考えてほしい。」との、前向きな意見があり、共感に値すること。などであります。

私はこれらを総合的に圏酌し、熟慮の末、喫緊の課題と抜本対策を切り分けて考えることが最も現実的な対応であると結論付けました。

そこで、現庁舎を早急に全館耐震化し、可能な限りの津波対策を行って喫緊の課題を解決し、抜本対策となる建替えや移転の議論は、人口減少・少子高齢社会を踏まえた長期的なまちづくりのあり方を検討する中で、息の長い検討を行っていくことが、現在の最善の選択だと考えるに至りました。

そのため、特例債は現庁舎の耐震化と津波対策に必要最低限活用し、残りは他の事業に振り向け、将来に備えて新たに「庁舎建設基金」を設けることも検討したいと考えています。

なお、このような臼杵庁舎の方針にご理解をいただければ、同じく耐震性能が課題になっております野津庁舎旧館のあり方についても、早急に検討に着手したいと考えておりますし、また、庁舎候補地となってきた旧臼杵商業高校の他の活用策についても検討を始めたいと考えています。

最後に、この方針に基づき、現庁舎を耐震化するため、9 月補正予算で、「臼杵庁舎耐震補強計画」策定等の委託費、3 5 0 万円を計上致しました。本計画は、大分県建築物総合防災推進協議会、耐震判定会において、認定をいただくためのものです。この判定で適正認定をいただければ、実施設計に進むことになりますが、早ければ、来年度には施工可能になると見込んでいます。

つきましては、本議会におきまして、慎重審議をお願い申し上げる次第です。

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