2010年6月28日月曜日

非核三原則の法制化に反対します

「非核三原則の早期法制化を求める意見書案」に反対しますと書いたら、
「なぜ反対するのですか?」とのコメントがありましたので、私見を述べます。

現在の東アジアの情勢を考えるとき、日本としては、
米国の核抑止力に頼らざるを得ないのが現状です。 

非核三原則、すなわち「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」ですが、
法制化を行った場合には、法に基づき法を遵守させる義務が生じます。

たとえば、核兵器搭載能力のある米国艦船の国内の港への入港などに際し、
米国は「核の存在については、あるともないとも表明しない」との
立場をとっています。

核の持込が行われる場合には、事前協議の対象となることが
規定されていますが、この事前協議が行われたことはかつてありません。

法制化が行われれば、米国の艦船が寄港や領海通過をするたびに
少なくとも事前協議の申し入れを行う必要が生じ、法律を厳格に運用すれば
「臨検」を行うなどの措置が求められることが考えられますが、
米国がそれに応じる可能性はないと思われます。

法制化を行えば、このような無用の混乱を生じさせる恐れがあり、
これにより、日米安全保障条約の信頼を損なうことにもなりかねません。

非核三原則の法制化については、十分な国民的議論が必要であり、
拙速な法制化を求めるべきではないと考えます。

以上の理由から、本意見書案については反対するものです。

2 件のコメント:

  1. 「厳格に法を適用すれば」
    米軍への臨検はできるのですか?
    外国海軍艦艇に臨検できるのは
    自国の海軍艦艇および海軍職員であり
    「海軍」を法的にもたない日本において
    ややこしくなる、ならない以前に
    米軍への臨検はそもそもできないのではないかと思いますが?いかがですか
    教えてください
    (警察権発動のみの海上保安庁は民間船のみ臨検可能)

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  2. そうですね。

    法を厳格に適用しようがどうしようが「臨検」はできないと思います。

    しかし、法制化されれば、国際法に照らして、可能な限りの核持込が行われないような措置はとる必要が生じると思います。

    匿名さんは、法制化に賛成ですか?

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