2015年12月4日金曜日

3ヶ月遅れの市長の行政報告

おはようございます。9月定例市議会の開会にあたりまして、議員各位にはご参集をいただき、付議議案のご審議をいただけますことに感謝申し上げます。

この3カ月間の諸般の報告の前に、まず懸案であります臼杵庁舎のあり方についてご報告申し上げます。この問題につきましては、この一年間をかけ、様々な検討を行いますとともに、各方面からご提言・ご意見を頂戴してまいりました。これまで、9月議会までには結論を出したい、そういう旨を申し上げてまいりましたが、判断材料がほぼ出そろいましたし、地震への脆弱性対策にも猶予はありません。つきましては、本日ここに今後の方針をお示しするものであります。

まず、これまでの経過について振り返ります。建築物の地震対策につきましては、昭和53年の宮城県沖地震を契機に、昭和56年、建築基準法が大幅に改正され、新耐震基準がつくられました。

その後、平成7年の阪神・淡路大震災により、新たに耐震改修促進法が制定され、耐震診断と改修の努力義務が、また平成18年には自治体による具体的促進施策や指導強化の改正が、さらに東日本大震災後の平成25年には、大規模建築物の耐震診断が義務づけられる改正がされるなど、安全対策の強化が図られてきました。国においては、同時に公共建築物の耐震化促進に指導や助成がなされ、各自治体では、とりわけ学校の耐震化を最優先課題とした取り組みがなされてきましたが、平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、大地震とともに津波の恐ろしさをまざまざと見せつけられ、全国的に地震とともに津波対策が課題となっているところであります。

このような状況のもと、臼杵市においては、幸いにも江戸時代の歴史資料を有し、東日本大震災前から地震津波対策の重要性を認識し、早くから災害対策の拠点となる消防本部消防署の当時の立地場所を課題とし、ご案内のとおり、既に移転を完了したところであります。また、小・中学校の耐震化については、平成19年度から耐震設計に着手し、平成20年度から工事を進めてまいりましたが、平成26年度に至り、平成27年度中には全ての学校で完了するめどが立ちました。

さらに、その他の主要な公共施設においては、臼杵図書館の耐震化も、26年度、リニューアルとともに完了し、市民会館や中央公民館については耐震基準を満たしていることから、残る重要施設は市役所臼杵庁舎と野津庁舎旧館のみとなっています。

こうしたことから、昨年度、いよいよ市役所庁舎の耐震化について検討できる時期に来たと判断したものであります。具体的検討にあたり、野津庁舎旧館は昭和37年に建築され、既に50年を超えているものの、臼杵庁舎は全館に耐震性能が低く、また津波の課題もあることから、臼杵庁舎を優先して検討することを決め、昨年9月議会で臼杵庁舎の災害対策の検討を進める旨、表明したところであります。

検討手法としましては、都市計画や防災、建築、経済などの専門家から成る委員会を設け、有識者の見解をいただくこと、これと並行して市民の代表から成る委員会を組織して、双方の見解をキャッチボールしながらご検討いただくこととしました。その上で、これら委員会からいただいた結果を市民の皆さんに説明し、ご意見をいただいて、市として最終判断を行うこととしたところです。

これら委員会の検討経過については、既にご案内のとおりでありますので、詳細は省略いたしますが、本年3月末、検討結果をご報告いただきました。報告では、どちらの委員会も、現庁舎が40年を経過していることから、耐震化だけでなく大規模改修も行う必要があると判断され、その場合、今後の庁舎寿命を勘案すると経済優位性が低いのではないかとの考えから、建てかえを選択すべきとの判断でありました。

その上で、両委員会とも、建てかえるなら津波対策も考慮すべきと判断いただいたところですが、立地場所については、専門家委員会が、防災に加え、まちづくりの観点も重視して、臼杵公園に移転あるいは現在地で津波対策を施した建物にすべきとのご提言に対し、市民委員会は、防災面を最重要視して、高台にすべきとの考えから臼杵公園か旧臼杵商業高校をご提案いただいたところであります。

これを受けて、4月以降、市では、この3カ所にどのような計画が可能か、様々な想定案を練ってきたところでありますが、この間、市議会におかれましても、臼杵庁舎整備検討委員会を設置され、ご検討いただく中で、高台で人口重心地域である江無田公有地においても具体的検討を行うべきとのご意見をいただきました。そこで、江無田公有地を含めた4カ所について、庁舎本体はもとより周辺道路などの整備も含めた概算事業費を初め、用地取得の容易性や当該箇所の評価をまとめたところであります。

市議会におかれましては、これらをご検討いただいた上で、現在地と江無田公有地をご提言いただきましたが、あわせて、他事業に影響を与えないよう総事業費を抑制し、現庁舎の活用も含め減災対策を実施し、市民の理解が得られる結論となるようにとのご意見をいただいたところであります。

このように、それぞれの検討結果は、極めて重要な問題であることから、一致した見解には至りませんでしたが、8月初旬に市内3カ所において市民説明会を開催し、これまでの検討経過やご提案いただいた4カ所の想定案をご説明し、ご意見をいただいたところです。

市民説明会での意見を私なりに総括しますと、議論の焦点は、まちづくり、防災、財政の3点であったと捉えています。参加した皆さんからは特定の場所を推す意見もありましたが、参加した多くの皆さんは、どの場所も一長一短あると思われていることや、津波への関心が高いこと、また多額の予算をかけない方法を考えるべきとの意見や、特に若い世代の方々は、将来のまちづくりのあるべき姿の中で庁舎はどうあるべきか、時間をかけ、じっくり考えたいなどの意見がありました。

この1年間、この問題について、専門家委員会の答申、市民委員会の意見をいただき、候補地ごとの想定案も検討する中で、市議会からは候補地とともに費用を抑えるべき提言を賜り、市民説明会では私自身耳を傾けるべき多くの意見をいただくことができました。こうした各界各層のご提言・ご意見を踏まえ、まちづくり、防災、財政の観点から、次のような5つの課題を解決する必要があると考えております。

1つに、庁舎の耐震性能がなく、対応策の判断が急がれること。
2つに、現状では、臼杵のまちづくりに庁舎が中心市街地を離れることは好ましくないこと。しかしながら、中心市街地には防災、特に必ずやってくる津波に万全を期せる、しかも直ちに整備可能な適地がないこと。
3つに、財源面では、合併特例債の期限までに整備することが望ましいものの、適地がない現時点で財源ばかりを最優先して判断することは適切ではないこと。
4つに、大規模改修の優位性が低いとの指摘もいただきましたが、現臼杵庁舎は耐用年数が少なくとも10年は残っており、機能面で空調、省電力の照明、給水設備などを改修しており、大規模な改修を控えれば、耐震化だけで当分は利用可能と考えられること。
5つに、市民説明会で、次世代を担う若い方々が、今後、人口減少・少子高齢社会が確実に見込まれる中、多額の費用を要する庁舎のあり方は、臼杵の未来を描く中で、将来世代とじっくり時間をかけて考えてほしいとの前向きな意見があり、共感に値することなどであります。

私は、これらを総合的にしんしゃくし、熟慮の末、喫緊の課題と抜本対策を切り分けて考えることが最も現実的な対応であると結論づけました。そこで、現庁舎を早急に全館耐震化し、可能な限りの津波対策を行って喫緊の課題を解決し、抜本対策となる建てかえや移転の議論は、人口減少・少子高齢社会を踏まえた長期的なまちづくりのあり方を検討する中で息の長い検討を行っていくことが現在の最善の選択だと考えるに至りました。そのため、特例債は、現庁舎の耐震化と津波対策に必要最低限活用し、残りは他の事業に振り向け、将来に備えて新たに庁舎建設基金を設けることを検討したいと考えています。

なお、このような臼杵庁舎の方針をご理解いただければ、同じく耐震性能が課題になっております野津庁舎旧館のあり方についても早急に検討に着手したいと考えておりますし、また庁舎候補地となってきた旧臼杵商業高校の他の活用策についても検討を始めたいと考えています。

最後に、この方針に基づき、現庁舎を耐震化するため、9月の補正予算で臼杵庁舎耐震補強計画策定等の委託費350万円を計上いたしました。本計画は、大分県建築物総合防災推進協議会、耐震判定会において認定をいただくためのものです。この判定で適正認定をいただければ、実施設計に進むことになりますが、早ければ来年度には施工可能になると見込んでいます。つきましては、本会議におきまして慎重ご審議をお願い申し上げる次第であります。

続きまして、さきの6月の定例会以降、現在までの市政運営事項についてご報告申し上げます。
まず最初に、6月15日、災害時における副食調味料の調達に関する協定を、フンドーキン醤油株式会社並びに富士甚醤油株式会社と締結しました。東日本大震災では、長期にわたり被災者への炊き出しが必要となり、その際に、みそ、しょうゆなどの副食調味料の調達が困難であったとの教訓から、地元企業と協定を行いました。災害時に炊き出し等が必要になった場合、副食調味料を被災した市民へ優先的に供給することが可能となります。

次に、6月20日、食育月間に合わせて、うすき食育フェアを、今回は給食フェスタとあわせて開催しました。別府大学短期大学部食物栄養科の立松洋子教授の講演を初め、食育クイズ、食育絵本の読み聞かせなどのスタンプラリーを行いました。また、野菜を使った朝食メニューコンクールを実施したところ、85品の応募があり、今後、そのレシピ集を作成する予定です。今後も、食にかかわる関係機関等と協力して食育を推進していくことで、健康で笑顔のあふれる家庭・地域が増えていくことを期待しています。

次に、6月23日、臼杵石仏の国宝指定20周年を記念して記念式典を行いました。臼杵石仏は、1995年に磨崖仏としては日本初の国宝に指定されて以降、今日まで360万人を超える多くの方々に参拝していただいています。式典当日は、石仏の環境保全や観光振興に尽力された団体に感謝状を贈り、また市仏教会による特別報恩法要が4つの石仏群で行われました。これからも関係各位のご協力をいただきながら、国宝としての保存に努め、あわせて石仏の里としても景観や周辺環境を整備し、多くの観光客の方々に参拝していただきたいと考えています。

次に、6月26日、男女共同参画週間に合わせて、在京テレビ局アナウンサーを講師としてお招きし、「息子3人、局アナパパの子育て奮闘記」と題して講演をしていただきました。また、8月24日には、差別をなくす運動月間に合わせて人権・同和問題講演会を開催しました。ご自身の部落差別にまつわる経験を伝える講演活動を続けている滋賀県在住の石井眞澄さん・千晶さんご夫婦をお招きして、「部落問題と向き合う私たち~結婚差別を乗り越えて~」と題して講演をしていただきました。

こうした講演会を通して、固定的性別役割分担意識にとらわれることなく、ワーク・ライフ・バランス、いわゆる仕事と生活の調和の重要性を理解していただくとともに、今後も人権尊重社会の実現に向け、各種啓発事業を継続的に実施し、同和問題を初めとするあらゆる差別の解消に向けて取り組んでいきます。

次に、7月6日、若年層の未婚率が全国平均よりも高くなっている実態を踏まえ、少子高齢化、人口減少対策の一環として、臼杵市婚活推進協議会を立ち上げました。この協議会は、地域振興に取り組む団体関係者や一般公募の方々で組織し、結婚を望む独身男女の出会いの場、交際のきっかけづくりの場を創出し、結婚に向けた活動の支援並びに結婚後の市内への定住を図ることを目的として、出会いの場づくりや民間の婚活支援に取り組むことにしています。また今後、既存の婚活イベントの支援のほか、自分磨きやコミュニケーション能力アップにつながる事業や、パートナー探しに消極的な人たちにイベント参加などを呼びかけるための制度づくりなども協議会で進めていくことにしています。

次に、7月10日、茨城県つくば市に本社を構える農業生産法人、株式会社TKFの進出に伴い、大分県知事立ち会いのもと、進出協定を締結しました。TKFは、サラダなどに用いるベビーリーフの生産会社として全国トップのシェアを誇っています。ベビーリーフは、冬場の需要が高く、栽培に適した温暖な九州に農地を求め、しかも臼杵市の有機農業の取り組みに賛同していただき、進出が決定いたしました。今年度は、冬場の出荷に向け、3ヘクタールの露地栽培から開始し、将来的には栽培面積を増やすなどの事業拡大により、県内外へ販売を展開していく計画を持っており、地元の雇用や経済面にも効果が期待されるところであります。

次に、7月21日、福良ケ丘小学校の管理教室棟の改築が完了し、2学期から供用開始となりました。新しい管理教室棟は、鉄筋コンクリートづくり3階建てで、1階は主に職員室や保健室などの管理機能を、2階と3階には教室を配置しており、中でも特別支援教室や多目的室を充実させることで、一人一人の児童に合わせた多様な教育ができるよう配慮しています。内装には木材をふんだんに使用し、自然の温かみを感じられるよう仕上げています。

また、学校が高台に位置しているため、津波発生時の避難場所としても大きな役割が期待されていることから、災害用備蓄倉庫を兼ねた屋外トイレを整備し、災害用マンホールトイレや自家発電装置も設置し、災害に備えた整備を進める予定です。今後は、旧管理教室棟の解体、グラウンドの復旧、また今議会に工事契約議案を提案させていただいております既存の特別教室棟の改修や、新校舎と既存校舎をつなぐ接続棟の建設を行い、全体の完成は平成28年3月を予定しています。

次に、7月31日から8月2日まで、移住希望者向け体験ツアー「うすきおためし暮らし」を実施しました。臼杵市への移住をより促進し、移住前に臼杵市を体感して、理解した上で移住を決めていただくことを目的としています。今年度は全4回を計画しており、今回は子育て世代を主な対象として開催し、県外から4世帯14名が参加されました。ツアーは、移住支援制度の説明や相談、グリーンツーリズムによる農泊、また空き家バンクの物件、有機農場、学校、城下町などの見学、さらに深江地区の地引網イベントへの参加といった内容でした。

参加者からは、体験を通して、まちの雰囲気や人柄、新鮮な食に触れ、交流もでき、有意義な時間を過ごすことができたという声をいただき、既に移住を決めようとしている方もいると聞いております。今後も、引き続き体験ツアーを実施し、臼杵の魅力や特色あるいは課題なども伝え、地道に情報発信を行い、臼杵への移住定住の促進を図っていきたいと考えています。

次に、8月3日、臼杵市まち・ひと・しごと創生総合戦略を公表しました。国の地方創生を受け、臼杵市では昨年12月に、全国に先駆け、臼杵市まち・ひと・しごと創生本部を立ち上げ、これまで庁内で議論を重ねるとともに、市内外の経済界、金融機関、大学等の関係諸機関と意見交換を行いながら、臼杵市の長期人口ビジョンを描き、それを踏まえ、講ずるべき諸施策を総合戦略として策定しました。

この間、市議会も、ふるさと創生委員会を設け、検討結果を提言として提出していただきました。総合戦略は、しごと、移住・観光、子育て、まちづくりと連携の4つを柱として組み立て、100年後も持続可能なまちづくりを目指していくことにしています。8月中に政府への提出を済ませましたので、今後は戦略に盛り込んだ施策を推進していきます。また、平成28年度からの創設が見込まれる新型交付金の動向を注視するとともに、施策実施による効果として、年度ごとの様々なデータを分析し、着実に人口減少に歯どめがかかっているかを検証していきます。

次に、8月7日、平成27年度の子ども市議会が開催されました。ことしは、市内の中学校6校より、14名の中学生が議長、事務局長や議員を務め、臼杵のまちづくりや地域の活性化、防災・ボランティア活動などについて、中学生の視点から鋭い質問が出されました。こうした子供たちの思いや考え方を今後の市政に生かしていきたいと考えております。

また、8月22日には、第9回目となります臼杵っこ検定が行われ、過去最高の144名が受検しました。上級合格者7名には、4回のガイド講習を受けていただき、来年5月には臼杵っこガイドとして活躍していただく予定であります。また、先輩ガイドは、先日行われました石仏火祭りにおいてガイドとして活躍し、中でも高校生の一人は英語でのガイドを行うなど、拝観に来た多くの観光客から好評をいただいたようであります。こうした貴重な経験や活動を通して、臼杵市の歴史や文化に触れて体験することで、臼杵に愛着を持ち続け、臼杵の将来を担う人材に育ってほしいと期待しております。

次に、8月8日、故塩屋俊監督が手がけた映画「種まく旅人」の第3作目の制作発表会が、映画の舞台となる岡山県赤磐市で開かれました。2作目の淡路島に続き、今回は赤磐市特産の桃(白桃)を題材として、栽培農家の未来を前向きに描く映画で、臼杵市での撮影も予定されていることから、私も同席しました。制作発表会では、友實赤磐市長と、主演となる俳優の斎藤工さん、女優の高梨臨さんらが出席し、抱負を語りました。

この「種まく旅人」は、塩屋監督が農業や漁業など第1次産業の再生をテーマに、地域振興に寄与することを目指した映画で、農林水産省の後援で松竹撮影所が製作するシリーズ作品となっています。まさに地方創生を先取りしたこの映画の発祥の地である臼杵が再びスクリーンに登場することで、全国に知名度が上がり、臼杵の産業振興や交流人口の拡大につながると考えています。なお、映画の全国公開は来年秋ごろに予定されています。

次に、本年、JRの臼杵駅、下ノ江駅が開業から100周年を迎え、8月22日に記念式典が開催されました。臼杵駅は、大正4年開業以来、城下町臼杵の顔として、人々の交流、経済、文化の発展に貢献し、現在では臼杵観光の玄関口として、また通勤・通学の移動拠点としての役割を果たしています。また、下ノ江駅は、今も残る開業当初からの木造駅舎が地区住民から愛される地域のシンボルとなっています。

臼杵駅で行われた式典では、臼杵市観光PRキャラクター「ほっとさん」が1日駅長に任命され、同日開催された夏ふぐ列車で来られたお客さんを地元の太鼓演奏で歓迎しました。臼杵市では、100周年を記念し、臼杵市観光PR電車の運行や、愛好者が1年がかりで製作した50年前の臼杵駅周辺の模型展示を中心に「臼杵と鉄道の100年展」などの事業を行い、多くの方々に懐かしみ、楽しんでいただきました。

今後は、10月に臼杵市歴史資料館で「臼杵の鉄道史」の企画展を開催する予定となっています。臼杵の歴史とともに歩んできた臼杵駅、下ノ江駅が、今後もより多くの方に愛され、また利用されるよう、JRとともに取り組んでまいります。

次に、同日の22日、防災拠点施設・市浜地区コミュニティセンターが完成し、竣工式を行いました。この施設は、通常時は、子供から高齢者までの誰もが交流できる地域のコミュニティ活動の拠点施設であり、また大規模災害発生時には、消防庁舎と連携し、災害活動の拠点施設としての役割を担うことにしています。開館後は、市浜地区振興協議会を中心として、幅広い世代の方々が集い、触れ合い、学ぶ場、各種団体の活動の場として活用が期待されています。また、防災面においても、日ごろから防災訓練、防災士の活動や研修の場として活用するなど、市民が安心して暮らせるまちづくりのために有効に活用していきたいと考えております。

次に、本年1月、全国大学ラグビー選手権大会で、帝京大学ラグビー部に所属し、大会6連覇に貢献した臼杵市出身の大塚貴之さんに市長賞詞を贈ることを決め、8月23日に贈呈式を行いました。大塚さんは、生まれつき重度の難聴でありながら、中学時代からラグビーを始め、大分雄城台高校時代はキャプテンとして活躍しました。その後、強豪と言われる帝京大学に進学し、およそ150名の部員の中で4年生時代にレギュラーのAチーム入りを果たし、全国大会に出場し、見事トライを決めるなど、優勝に貢献しました。今後、11月には、聴覚障害者ラグビーの日本選抜選手として国際試合に出場が予定されていると伺っています。大塚さんの活躍は、臼杵市民に深い感動と大きな希望を与えるとともに、努力してきた経験は子供たちへのお手本となり、また障がいを持つ方々にとっても大きな励みになると思います。今後の活躍をますます期待しております。

次に、8月26日から28日まで、ジュニア防災リーダー養成講座を実施しました。市内の中学2年生17名を対象とし、防災に関する知識や技術を習得することにより、災害対応能力を身につけ、責任感・連帯感を養い、家庭や学校、地域において防災啓発・指導ができるよう養成するもので、県内の市町村では初めての取り組みです。講座では、災害の歴史や地域の防災活動、消防団活動を説明する座学と図上訓練などのグループワークに加えて、応急手当の方法や地震体験、火災体験などの実技を行いました。全ての自然災害から自分の命を守ることができるようになるとともに、家庭や学校、地域においても積極的に防災活動に携わっていただきたいと期待しております。

次に、8月29日、来年4月に臼杵市で開催予定の第4回ANJINサミットに向け、より多くの方々に三浦按針を知っていただくとともに、機運を高めていくため、プレイベントとして「按針寄席」を開催しました。今回、上方講談師の旭堂南海氏をお招きし、ご自身で創作した講談「ウィリアム・アダムス物語」をご口演いただきました。物語の冒頭、リーフデ号が佐志生の海にあらわれ、村人と出会う場面から、来場者は軽快で歯切れのよい語り口に400年前の世界へと引き込まれていました。

また、講談に先立ち、按針が上陸した地にある佐志生小学校全校児童が、元同校校長作曲の歌「夢と希望を乗せて、走れ!リーフデ号」の合唱を披露していただき、按針寄席に花を添えていただきました。なお、同館ロビーでは、「絵本のように按針が解る!按針パネル展」も同時開催し、子供から大人まで多くの方々に按針を知っていただくことができました。来年のANJINサミット臼杵市開催を成功させ、またサミット後における地域活性化へとつなげていきたいと考えております。

最後に、8月25日に襲来した台風15号に伴う被害状況等をご報告いたします。勢力が衰えないまま九州に上陸した台風15号は、消防署野津分署で最大瞬間風速31.3メートルを観測し、各地で突風による被害をもたらしました。この強風の影響により、建物などの屋根の損壊や転倒によるけがで救急搬送された方もいました。また、倒木により、各地域で道路の通行どめも発生しました。さらに、野津地域では、電柱の破損や高圧電線の断線により、早朝から多くの世帯で停電になり、完全な復旧に夕方まで時間を要し、また停電の影響で一時断水も発生し、市民生活に支障が出たところであります。

現時点での被害額は、農業被害が総額で9,404万1,000円となっております。その内訳は、園芸施設関係で1,874万円、農作物はピーマンやニラなどの野菜が6,266万円、ミカンやカボスの果樹が1,264万1,000円であります。また、道路施設関係では、およそ700万円、その他、倒木撤去による復旧作業などで190万円となっております。被災された方々にお見舞いを申し上げますとともに、早期の災害復旧に努めてまいりたいと考えております。

以上で、6月定例会以降の市政関連事項につきまして、報告を終わります。

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