2015年9月1日火曜日

市長の方針説明抜粋(解説付)

市長の方針説明の結論部分は以下のとおりです。

現庁舎を早急に全館耐震化し、可能な限りの津波対策を行って喫緊の課題を解決し、抜本対策となる建替えや移転の議論は、人口減少・少子高齢社会を踏まえた長期的なまちづくりのあり方を検討する中で、息の長い検討を行っていく

この結論に至った理由が述べられていますが、解説を加えてみます。

一つに、庁舎の耐震性能がなく、対応策の判断が急がれること。(市長)

庁舎の耐震性能が無いことは既に判明していたことである。「合併特例債」の期限である平成31年度までに「抜本的対策」を行う計画であった。

二つに、現状では臼杵のまちづくりに庁舎が中心市街地を離れることは、好ましくないこと。しかしながら、中心市街地には防災、特に必ずやってくる「津波に万全を期せる、しかも直ちに整備可能な適地」がないこと。

庁舎が中心市街地を離れることが好ましくないという点は、「専門家委員会」「市民委員会」でも意識されていた。ゆえに両委員会とも「臼杵公園」を有力候補地として挙げたが、「基礎(地盤)に不安がある」との理由から却下された。可能性を追求するなら「地質調査」が必要である。

三つに、財源面では、合併特例債の期限までに整備することが望ましいものの、適地がない現時点で財源ばかりを最優先して判断することは適切ではないこと。

合併特例債の期限である平成31年度までに整備することが財政的に有利であり望ましい。あと4年半が残されており、検討する時間はあると考える。検討した上で「適地がない」という判断なれば、既存建物を耐震改修し、抜本的対策は「ゆっくり考える」ことが上策と思われる。

四つに、大規模改修の優位性が低いとの指摘もいただきましたが、現臼杵庁舎は、耐用年数が少なくとも1 0 年は残っており、機能面で空調、省電力の照明、給水設備などを改修しており、大規模な改修を控えれば、耐震化だけで当分は利用可能と考えられること。

経済的に耐震補強及び大規模改修の優位性は低いと判断される。耐震改修により地震への備えはできても、津波への対応が困難である。

五つに、市民説明会で、次世代を担う若い方々が、「今後、人口減少・少子高齢社会が確実に見込まれる中、多額の費用を要する庁舎のあり方は、臼杵の未来を描く中で、将来世代と共にじっくり時間をかけて考えてほしい。」との、前向きな意見があり、共感に値すること。

「じっくり時間をかけて」とのことであるが、予定された平成31年度完成を目指す中で、将来世代と共に臼杵の未来を描く努力を行うべきである。それで間に合わない場合にのみ「既存建物の耐震改修」を選択すべきである。

私はこれらを総合的に圏酌し、熟慮の末、喫緊の課題と抜本対策を切り分けて考えることが最も現実的な対応であると結論付けました。

喫緊の課題(耐震改修)と抜本的対策を切り分けて考えることはよいが、速やかに「抜本的対策」を検討することが必要である。平成31年度までに建て替えることができれば耐震改修費用は不要となり、起債面でも有利である。よって、これまで行ってきた抜本的対策の検討は引き続き、速やかに行うべきである。

そこで、現庁舎を早急に全館耐震化し、可能な限りの津波対策を行って喫緊の課題を解決し、抜本対策となる建替えや移転の議論は、人口減少・少子高齢社会を踏まえた長期的なまちづくりのあり方を検討する中で、息の長い検討を行っていくことが、現在の最善の選択だと考えるに至りました。

「息の長い検討」とはどのような検討を行うのか、具体策が示されていない。早急に検討を開始し、平成31年度の完成を目指すべきである。「耐震改修」にかかる費用を節約すべきである。

そのため、特例債は現庁舎の耐震化と津波対策に必要最低限活用し、残りは他の事業に振り向け、将来に備えて新たに「庁舎建設基金」を設けることも検討したいと考えています。

「庁舎建設基金」を設けるにしても、一般財源(何にでも使えるお金)を積み立てるものであり、合併特例債を活用することが財政的には一番有利である。

なお、このような臼杵庁舎の方針にご理解をいただければ、同じく耐震性能が課題になっております野津庁舎旧館のあり方についても、早急に検討に着手したいと考えておりますし、また、庁舎候補地となってきた旧臼杵商業高校の他の活用策についても検討を始めたいと考えています。

旧臼杵商業高校は移転候補地として有力である。庁舎の建て替えの方針が出ていない中で先行的に「他の活用策」を模索するべきではない。選択の幅を狭めることが懸念される。

最後に、この方針に基づき、現庁舎を耐震化するため、9 月補正予算で、「臼杵庁舎耐震補強計画」策定等の委託費、3 5 0 万円を計上致しました。本計画は、大分県建築物総合防災推進協議会、耐震判定会において、認定をいただくためのものです。この判定で適正認定をいただければ、実施設計に進むことになりますが、早ければ、来年度には施工可能になると見込んでいます。

議会はこの予算案を否決し、抜本的解決に向けた早急な検討を促すべきと考える。

6 件のコメント:

  1. 何故なのでしょうか、
    他にたいした活用方を考えていないなら、一番有力な候補地と考えられる旧臼杵商業を移転先として視野に入れないのは、現庁舎を耐震補強した場合は10年プラス何年長持ちするのでしょうか?

    とりあえずの事に使われる予算も時間も無いと思います。
    察するに、いずれ現庁舎後に建て替えるが、市民から色々な意見が出たので、それを無視出来ないから、思いついた作戦と言う事ですか?

    旧臼杵商業に移転した場合の臼杵の可能性をもう一度書きます。
    市役所へ行く路線バスの本数がいちばん多いと聞きました。臼杵駅発市役所(旧臼杵商業)は石仏を経由する事により、観光客が石仏を訪れやすくなります。言うまでも有りませんが、集客数の増加につながります。
    また、現在の庁舎後に、駐車場、必要なスポーツ施設、小さな子供達も遊べる遊具、堤防では釣りが出来ます。人が集まる可能性が大きいです。
    当然、その周辺地域の経済効果は今より大きく出来ます。
    この路線バスは観光交流プラザ(辻)を経由する事で臼杵の多くの観光名所の近くを通ります。
    また市民の買い物や通院などにも利便性は高まります。

    是非、前向きな検討をお願いします。

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    1. 市庁舎の跡地利用や分庁舎のあり方など、検討すべきことは多いですが、有力な案だと思います。

      「次世代を担う若い方々の前向きな意見」を取りいれ、検討を続け、可能ならば平成31年度末までの抜本的対策を模索すべきです。

      仮に間に合わなかったとしても、いつかは解決すべき「課題」。検討することは無駄にはなりません。

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  2. 人口減少や少子高齢化は今に始まった事ではありません。何年も前から語られている日本の重要な課題です。
    歴代の市長や議員の皆様方がこの事を重視出来ていなかった事にも問題が有ると思います。
    中野市長が市民説明会で
    次世代を担う若い方々の前向きな意見が有り共感に値するとおっしゃっています。
    当たり前の事ですが、物事を検討するときは現在までの事を振り返り反省しつつ、それが将来の事であれば前向きにやっていかないといけませんね。
    これでは、やっていることが前向きどころか2009年に後戻りではありませんか?

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    1. 「防災」を重視する市長らしからぬ「決断」です。

      これまでの計画どおり、平成31年度末までの「抜本的対策」を目指して、最後まで粘り強く取り組むべきです。

      1年間、様々な方面で検討させてきて、今の段階で「先送り」は無責任です。

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  3. つまり、この市長提案が通れば、市役所がこの一年間にかけた手間、お金、時間、
    全てが無駄になる事、その為に考えた計画も練り上げられたものだと思いますが、それも正しく実行されないままになります。

    結局、今、耐震補強したところで数年後には、現地建て替えとなるのではありませんか?

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    1. これまでの検討経過を無駄にしないためには、「建て替え」についての速やかな継続的検討が必要です。

      臼杵市にとって「現地建て替えがよい」という結論が得られれば、速やかに建て替えるべきです。津波への対応のためにも財政的に有利であるこの時期を逃すべきではありません。

      速やかな継続的検討の結果、結論が出せないとなれば「耐震補強」もやむなしとなりますが、それでも、恐らく15年後となる「建て替え」に向けて検討していかなければなりません。

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