http://www.kosonippon.org/mail/bk130214.php
(以下引用)
「自治の原点は」 北海道奈井江町長 北 良治
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まちづくりには、情報共有が大事だと考えている。
全ての町民に正確な情報を漏れなく、確実に伝える。
これにより、住民はまちづくりの様々な点について判断ができる。これが、住民と共に考え、共に創り上げる町となる。
かつて、日本中で『平成の大合併』が行われていた平成13年、私が町長を務めている奈井江町でも、5市5町による市町村合併の検討が行なわれた。
町の将来を大きく左右するこの検討にあたり、私は、町長1人の判断ではなく、町民皆で話し合い、結論を出していきたいと考え、“即、市町村合併、是か非か”ではなく、まずは奈井江町の現状、そして、将来のまちづくりや財政推計、そして合併した際のメリットとデメリットなどについて、隠すことなく全てをオープンにして情報提供し、町民全体に亘る議論を行なっていった。
情報の提供は、平成13年7月から2カ年の間、7回に亘って、役場で作った合併情報誌を町内の全戸に配布するとともに、私と担当職員とで様々な会議、地域の会合に出向き、膝を交えた説明を行った。
そして、平成15年10月、奈井江町の将来の選択に住民の皆さんにも参加していただくことが、正しいことだと考え、18歳以上の町民を対象に市町村合併の可否について、住民投票を実施することにした。
議会や北海道から、投票率の低下を懸念する声が上がったが、このとき私が用いたユニークな手法は、子どもたちにも投票に参加してもらうことだった。
平成14年に「子どもの権利に関する条例」を設け、“子どもは、まちづくりのパートナー”として、毎年必ず「町長と語る会」を実施し、子どもたちの意見を施策に採用してきた経過を踏まえ、条例は“参
考とする”としたものの小学5年生から18歳未満の子どもたちを対象に「子ども投票」を行ったのである。
そして、このことは、住民投票のみならず、後のまちづくりに大いに生きてくることになる。
投票にあたっては、子どもにも分かりやすいような説明、誌面づくりを心がけて情報提供を行なったため、多くの町民が、難解になりがちな情報ではなく、制度内容やメリット、デメリットを容易く読み解くことに繋がった。また、大きな関心を持った子どもたちが、クラス内での話し合いにとどまらず、家庭に戻ってからも、大人たちを質問攻めにして、家庭の中でのミニ討論会が開かれるようになったのである。
子どもたちが、親へ良い影響を及ぼすとともに地域づくり、まちづくりは家庭からという雰囲気を奈井江町に創り上げることになった。
住民投票の結果は以下のとおりで、合併をせず自立の道を歩むとの結論に至ったが、前述したプロセスを経て結論を得たため、町民の中に自ずとまちづくりに対する責任が醸成されていった。
○住民投票の結果(投票率73%)
合併する26%、 合併しない73%
○子ども投票(投票率87%)
合併する16%、 合併しない84%
(なお、国の第27次地方制度調査会(平成15年11月開催)において、基礎自治体の人口規模について議論が行われていたため、その答申内容を確認してから、“合併しない”」との結論を決めている)
町の現状をオープンにしたことは、自立を選んだ後にすぐ取り組まなければならなかった町財政の健全化計画の策定の際に、住民が納得しながらまとめ上げることに繋がり、何度も何度も議論を重ねてきた経験は、今の奈井江町の活力あるまちづくりに繋がっている。
これから、何か新たな困難が発生したときでも、臆することなく町民と議論を尽くし、解決に繋げる…、というのが奈井江町のスタンダードになった。
自治の芽を育てながら町政を運営していくこと。それは情報をオープンし、共有し、議論を重ねて行くプロセスそのものである。
さて、最後に今、国に望むことを述べて本稿を終わりにしたい。
それは、国民とあらゆる情報を共有しながら、解決策を見いだして欲しいということである。政権が交代し、様々な政策が提案されているが、国民に対して、説明責任をしっかりと果たしてほしいのである。これこそが、政策の実現に一番大事なことであり、どんな政権であろうと自治の原点であるからである。
子どもたちが、親へ良い影響を及ぼすとともに地域づくり、まちづくりは家庭からという雰囲気を奈井江町に創り上げることになった。
住民投票の結果は以下のとおりで、合併をせず自立の道を歩むとの結論に至ったが、前述したプロセスを経て結論を得たため、町民の中に自ずとまちづくりに対する責任が醸成されていった。
○住民投票の結果(投票率73%)
合併する26%、 合併しない73%
○子ども投票(投票率87%)
合併する16%、 合併しない84%
(なお、国の第27次地方制度調査会(平成15年11月開催)において、基礎自治体の人口規模について議論が行われていたため、その答申内容を確認してから、“合併しない”」との結論を決めている)
町の現状をオープンにしたことは、自立を選んだ後にすぐ取り組まなければならなかった町財政の健全化計画の策定の際に、住民が納得しながらまとめ上げることに繋がり、何度も何度も議論を重ねてきた経験は、今の奈井江町の活力あるまちづくりに繋がっている。
これから、何か新たな困難が発生したときでも、臆することなく町民と議論を尽くし、解決に繋げる…、というのが奈井江町のスタンダードになった。
自治の芽を育てながら町政を運営していくこと。それは情報をオープンし、共有し、議論を重ねて行くプロセスそのものである。
さて、最後に今、国に望むことを述べて本稿を終わりにしたい。
それは、国民とあらゆる情報を共有しながら、解決策を見いだして欲しいということである。政権が交代し、様々な政策が提案されているが、国民に対して、説明責任をしっかりと果たしてほしいのである。これこそが、政策の実現に一番大事なことであり、どんな政権であろうと自治の原点であるからである。
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