2010年12月19日日曜日

変わる地方議会 2

大分合同新聞 2010年12月8日夕刊より転載
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■変わる地方議会② ~市民目線のチェック~

○手厳しい感想次々

「一般質問は形式的な儀式に終わっている」
「一般質問の冒頭の定型的な挨拶は不要。発言はいちいち壇上に行かず、自席でやれば済む」
「議員が議席にふんぞり返っている」

10月4日、長野県松本市役所で開かれた「ステップアップ志民会議」の第2回会合。
公募された市民委員が、市議会をチェックするのが目的だ。

傍聴した9月定例市会の手厳しい感想が、次々と議員にぶつけられた。
赤羽正弘議長(67)は「今日は一にも二にも、皆さんの意見を徹底して聞く」と話す。

だが、男性市議の一人は「議会の仕組みを誤解している点もある」と、議会側の意見や説明の無い「一方通行」のやりとりに不満を漏らした。
審議がルールや慣例に縛られている―。
市民の目にそう映ったことに、戸惑いを感じた市議も少なくなかった。

2009年3月、松本市議会は長野県内の自治体では初となる議会基本条例を全会一致で可決、翌月に施行された。
市議会は市民参加や情報公開など条例に盛られた内容を推進するため、42人の市議全員が分担して参加する三つの部会を設置。
会派代表らでつくる「進行管理部会」も設け、3部会の取り組み状況をチェックするようにした。

ステップアップ市民会議は「交流部会」の提案で、本年度設置された。
市民の視点で議会改革への意見を出してもらおうと、18歳以上の市民や大学生を対象に7月、委員を公募した。

ボランティアで任期は1年。
「町会運営に関わる予算の仕組みを議員にも知ってもらいたい」と参加した町会役員や、信州大学の学生など顔ぶれは多彩だ。

○目的意識が鍵握る

長野県では、2000年に就任した田中康夫元知事が県議会と鋭く対立。
この間、県議会への注目度は高まり、傍聴者が大幅に増えた。

だが、こうしたケースを除けば、議会審議に住民の関心が集まることは多くない。
松本市議会のステップアップ市民会議は、市民に普段から議会に目を向けてもらう方策を探る狙いもある。

市民会議がこれまでに寄せた意見は数十項目。
市議会は、質問の方法や委員会での審査のあり方などについて改善に向けた検討を始めており、結果を来年1月の市民会議で説明する予定だ。

「市民の声を目に見える形でどう生かしていくか。議会が改革に向けた目的意識をしっかり持つことが、成否の鍵を握る」と、交流部会の小林弘明・副部会長(59)。
市議会と市民の「距離」を縮める試みは、これからが正念場だ。

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